九州大学大学院 地球社会統合科学府 Graduate School of Integrated Sciences for Global Society 比較社会文化研究院 Faculty of Social and Cultural Studies

研究トピックス

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<研究成果> 氷期−間氷期サイクルの誕生と初期進化:北大西洋深層水の役割に関する新仮説の検証
作成日2021-03-24 13:44:00
<研究成果> 氷期−間氷期サイクルの誕生と初期進化:北大西洋深層水の役割に関する新仮説の検証

 

Nature Researchのオープンアクセス誌Communications Earth & Environment の創刊号に、本研究院の地球変動講座を中心とした共同研究プロジェクト【氷期−間氷期サイクルの誕生と初期進化:北大西洋深層水の役割に関する新仮説の検証, 科研費・基盤研究(B),  代表: 林辰弥】の成果が掲載されました。

 

大西洋の高緯度域では、北上する表層水の密度が増すことで沈み込み、南へ向かう深層水が形成されます。この大西洋子午面循環は、世界的な海洋大循環を動かす主要なモータの1つであり、現在の気候変動に強い影響力を持ちます。しかし、約270万年前に地球規模の気候変動(氷期サイクル)が誕生した際の大西洋子午面循環の役割は分かっていませんでした。そこで、それらの関係を検証するために、本論文ではアイスランド南方沖の海底堆積物の高解像度マルチプロキシー分析を行いました。

 

本論文による新しいデータから、氷期サイクルの誕生と同じタイミングで大西洋子午面循環が強化されていたことが分かりました。また、270万年前よりも後には、大西洋子午面循環は各氷期の前半には活発に維持され、その後半には大陸氷床由来の氷山の溶け水の影響で弱化していたことが分かりました。氷期サイクルを誕生させるためには、各氷期の前半に大西洋子午面循環が活発に維持されていたことが重要であったと考えられます。表層の北大西洋海流によって高緯度まで運ばれる熱は大陸氷床の成長を妨げますが、このことは氷期の寒さによって緩和された可能性があります。また、北大西洋海流は大量の水蒸気を供給することで氷床の成長を促し、氷期サイクルを増幅させたと推定されます。

 

本研究グループでは、北大西洋堆積物の多角的な研究を通して古気候・古海洋学の最先端にチャレンジし続けていきます。研究に参加をお待ちしております。

 

 

 

 


論文情報:Hayashi, T., Yamanaka, T., Hikasa, Y., Sato, M., Kuwahara, Y. & Ohno, M. (2020). Latest Pliocene Northern Hemisphere glaciation amplified by intensified Atlantic meridional overturning circulation. Communications Earth & Environment 1:https://www.nature.com/articles/s43247-020-00023-4

※ 所属:九州大学・大学院比較社会文化研究院・環境変動部門・地球変動講座