ディプロマ・ポリシーを達成するため、本専攻は、地球社会の課題を相互に連関しあうkeywordのスペクトラムとして捉え直し、それを6つの対象領域にまとめ、カリキュラムの基礎的な単位となる6つの「コース」(①包括的地球科学コース、②包括的生物環境科学コース、③国際協調・安全構築コース、④社会多様性共存コース、⑤言語・メディア・コミュニケーションコース、⑥包括的東アジア・日本研究コース)を設定する。
修士課程の学生は、専門分野とするメインコースのほかに、サブコースの科目履修を必須とする。サブコース科目の履修の目的は、地球社会への視野を広げ、メインで学ぶ専門をより広いコンテクストに位置づけることができるようになることである。これにより、本学府が目標として掲げる統合的な学際性の涵養をめざす。
博士課程では、本学府の前期(修士)課程で身につけた学際的な素養を前提に専門性をより深化させることを重視し、学生はメインコースのみを選択して各自の研究プロジェクトを推進する。なお、博士課程編入者については、前期(修士)課程で開講される「共通科目」(後述)の一部を必修とすることで、地球社会的な視点や統合的な学際性の素養を補強する。
従来の学問領域の前提となってきた枠組みそれ自体を批判的に吟味・再考しながら、現在の地球社会が直面する問題を解明するために、すべてのコースの学生に対し、地球社会の諸課題とそれを対象とする学問の研究技法を包括的に学ぶ「共通科目」を必修とする。共通科目のうち、PBL型の授業を組み込んだ「地球社会統合科学」、「地球社会フィールド調査法」、「外国語ライティング」を履修することにより、地球的諸問題や現代社会の諸課題への学際的な関心を涵養するとともに、地球社会を舞台に活動するための問題解決型のアプローチ、国際的発信手法、データ・情報収集の方法等を学ぶ。
さらに、6つのコースの主題に即した学際的入門講義として「基礎科目」を置き、特定のコース主題から地球社会の諸問題を捉え直し、アプローチの方法や、先行する理論・学説などの基礎的知識を多角的に学ぶ。基礎科目は、学部段階で当該学問分野を未履修の学生にその分野の概要を提供することで、学部教育との接続的な役割をも担っている。
以上の共通・基礎科目の学習を土台に「専門科目」を学修することにより、実践性や専門性をさらに深く極める。専門科目は、大きくは「演習」と「総合演習」からなる。各教員の専門分野ごとに開講される演習を通じて、その学問分野を集中的に学ぶ。また、ここでもサブコースの演習の履修が義務付けられており、統合的学際性の涵養が図られる。総合演習は、専門分野の異なる複数の教員が担当する演習科目で、履修者の研究発表とそれをめぐる討議を中心に授業が運営される。総合演習でも、履修者は、幅広い専門分野や様々な研究テーマに取り組む教員と学生の相互作用を通じて、専門性と統合的な学際性の技能が磨かれるとともに、学術的なコミュニケーション力が鍛えられる。
博士課程では、自立した研究者としてアカデミアや社会で活躍できるための高度な研究能力を養成する。そのために、個々の教員による専門科目である「博士演習」に加えて、複数の教員が指導に参画する「博士総合演習」によって、問題に対する多面的なアプローチを修得し、また、主指導教員による「博士個別研究指導」によって博士論文の執筆を手厚く支援する。
修士課程の学生が入学後の2年間にわたる学習と研究をスムーズにスタートできるよう、共通科目の一つ「チュートリアル」(1単位)を入学後最初のクォーターに配置する。その後、各学生は、自分の研究を指導し、修士論文の完成へと導く教員を少なくとも3名選んで、指導教員団を編成する。指導教員団は1名の主指導教員と2名以上の副指導教員から構成される。主指導教員は学生がメインコースとして履修するコースの担当教員から選び、副指導教員の1名はサブコースのコース担当教員から選び、残りの1名については標準的にはメインコースのコース担当教員から選ぶ。このようにして、多様な分野を専門とする指導教員団を編成し、幅広い観点からの研究指導を実施し、統合的な学際性の涵養を支援する。なお、主指導教員による研究指導は、「個別研究指導Ⅰ Ⅱ Ⅲ(各2単位)として単位認定される。博士課程の学生は、進学・編入学直後から、主指導教員1名と2名の副指導教員からなる指導教員団を編成する。
学位論文審査基準として5つの評価項目(1.研究テーマの位置づけと意義、2. 研究方法の妥当性、3. 論証及び結論の妥当性と意義、4. 倫理性と形式性、5. 研究能力)を設け、修士論文審査の際に、審査委員がそのそれぞれにつき評価を加え、その評価を基礎に修士論文の得点及び合否を決定する。
学位論文審査基準として5つの評価項目(1.研究テーマの位置づけと意義、2. 研究方法の妥当性、3. 論証及び結論の妥当性と意義、4. 倫理性と形式性、5. 研究能力)を設け、博士論文審査の際に、審査委員がそのそれぞれにつき評価を加え、その評価を基に最終試験の合否を判定する。
本学府は、学生の学習到達度を評価するために、学位論文審査、各履修科目の成績評価や単位の認定に加えて、以下のような仕組みを設ける。
学習到達度評価(コア・コンピテンスの経時的評価):単位認定や修士論文の審査に加え、学生の学習到達度を経時的に測定するため、11のコア・コンピテンスにつき、学生による自己評価と指導教員団による評価の仕組みを導入した(2019年度より)。学生は計4回(各セメスター終了時)、指導教員団は計2回(入学後最初のセメスター終了時と修士課程修了時)、それを実施する。評価は学習指導ポートフォリオ上で行い、そのデータは学生ごとにストックされ、チャート図の形で可視化される。蓄積された全学生のデータに基づき、どのコンピテンスの到達度が不十分なのかを把握し、カリキュラムの改善につなげる。
博士論文執筆計画書:半年に一度、学生は博士論文執筆計画書を執筆、提出し、学習指導ポートフォリオ上で、指導教員団から半期の成果についての確認と研究指導を受ける。