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英語コーパス学会 学生優秀発表賞 受賞
畔元 里沙子 言語・メディア・コミュニケーションコース

2022年10月、英語コーパス学会より学生優秀発表賞を頂きました。英語コーパス学会は1993年に創立され、英語コーパス及びコーパスツールの開発・評価・利用に関わる研究、また、英語コーパスを用いた言語研究・言語教育研究・関連研究を促進することを目的として活動しています。会員数は300を超え、日本におけるコーパス研究の代表的な学会です。

英語コーパス学会は年に1度大会を開催しており、私が初めて博士後期課程1年次に発表を行った2020年度大会から、学生会員且つ大会において単独発表を行った者を対象に、学生優秀発表賞を1~2名決定しています。私は2020年度、2021年度、2022年度と3度この賞に応募しており、3度目の正直での受賞となりました。

学会名にも含まれる「コーパス」は、新聞、本、インターネット上の記事の中身といったあらゆる文字情報や、話し言葉を文字化したものを、コンピューター上で検索や分析ができるように集積したデータベースのことを表します。英語コーパス学会では、主に英語のデータベースを対象とした研究が発表されています。その中で、私が今回発表した「高校英語教科書におけるコロケーション:基本動詞に着目して」の内容について紹介させていただきます。

本研究は、高校英語教科書にて使用されている基本動詞を含むコロケーションをリスト化し、その特徴を把握することを目的として行われました。「コロケーション」とは、自然言語の中で通常一緒に使用されることが多い単語と単語の組み合わせのことを表します。例として、heavy rain やraw dataなどが挙げられます。本研究では、2018年に自身が作成した日本で使用されている高校英語教科書6シリーズ計18冊のリーディングパートを集積したコーパスを使用し、統計的手法を使用し1189タイプの英語教科書で使用されるコロケーションをリスト化しました。その後、それらのコロケーションについて、シリーズ間での共有率、各シリーズ内での再現率、それらが実生活で使用する表現を含んでいるか、学術英語で使用する表現を含んでいるか、の4点について分析、考察を述べています。

昨今、英語教育には高い関心が向けられており、教科書研究は日本における英語教育の質の向上のために不可欠です。また、コロケーションについても言語研究の全体の歴史の中では比較的新しい分野にはなりますが、コロケーションの習得は英語学習者にとって流暢な英語を話す、書くことができるようになる鍵だと考えています。本研究は計画している博士論文の一部となる予定です。これからも、日本での英語教育の質の向上に少しでも役に立つような研究に邁進したいと考えています。

個人的に、英語コーパス学会の大会は参加した3度とも思い入れの深いものでした。2020年度では初めてのオンライン学会への参加で、聞き手の表情が見えない中で緊張した発表。2021年度は第一子出産後、産院から発表募集に申し込み、その3か月後に泣き止まないわが子を抱きながら夜な夜な作成したパワーポイントを使用しての発表。そして2022年度は1歳になった我が子が隣で聞いている中での発表となりました。回を重ねるごとに学生発表の数が増え、2022年度は多数の素晴らしい発表をする学生がいらっしゃったので、閉会式にて私の名前が呼ばれた時には大変驚きました。夫と子供に見守られながらの受賞スピーチとなり、とても感慨深かったです。子育てをしながらの学会参加は遠方だとどうしても難しいことが多く、このようにオンライン学会になるのは一般的にはデメリットも多くありますが、子育てをしながら学会に参加する身としてはとてもありがたく感じています。

最後にこの場をお借りして、日頃からご指導いただいている内田諭先生、およびご指導、ご助言いただいています皆様方に、心より感謝申し上げます。これからもこの賞に恥じぬよう、研究を頑張っていきます。