能登半島
2024年1月1日に発生した能登半島地震によって被災された皆様に謹んでお見舞い申し上げます。
九州大学浅海底フロンティア研究センターでは、沿岸浅海域の海底地形探査を通して、地域の皆様に貢献できる取り組みや、科学的に役立てることができるデータの集積に努めていきたいと考えております。
令和6年能登半島地震では能登半島北部の海岸で最大約4mの隆起が生じました。この地震は能登半島北岸沖の海底活断層によって引き起こされたとみられています。地震発生後、様々な研究機関が海域の調査に乗り出していますが大型船舶を用いた調査であるため、沿岸に近い浅海域の調査は進んでいません。日本で沿岸浅海域の地形調査が可能な研究機関は九州大学浅海底フロンティア研究センターだけですので、今回、我々の調査技術を用いて能登半島北岸の沿岸域の海底地形調査を実施しました。
九州大学浅海底フロンティア研究センターは、その運営および研究活動資金をすべて外部資金(企業との共同研究、寄附金、科研費など)によって賄っております。2024年4~5月に実施した輪島沖のマルチビーム測深調査も企業様からの協力金によって実現しました。今後も引き続き当地での研究活動や地域貢献を続けていきたいと思っております。当研究センターの今後の活動にご支援をいただけましたら幸いです。
・ご寄附(寄附金)について:本研究に要する経費として、皆様からの寄附(寄附金)を受け入れております。
・共同研究について:民間企業等の外部機関との共同研究を積極的に行っております。
お申し込み・お問い合わせ先
九州大学 浅海底フロンティア研究センター
TEL:092-802-5646 Email:seafloor@scs.kyushu-u.ac.jp
潜水調査・水中ドローン調査を実施
8月下旬から9月上旬にかけて、より詳細な潜水調査および水中ドローン調査を行いました。
8月30日には、漁業関係者の方々への調査説明会を実施し、輪島漁業関係者・石川県農林水産部水産課の方など計23名にご参加いただきました。
九州大学プレスリリース(2024.07.01)
マルチビーム測深によって作成した輪島港周辺の海底地形図を公開します。地域の方々に活用していただくことで、復興支援につながればと期待しております。
「令和6年能登半島地震 震災後の詳細な海底地形データを広く一般公開へ」
画像をクリックすると、拡大画像が表示されます。
本図は4月27日~5月5日調査時点での海底地形を測量して作成しています。
この海底地形図はGoogle Earthを用いてスマホやパソコン上で表示させることが可能です。
kmzファイルは、サイズが大きくならないようにグリッドサイズ 1 mの数値標高モデル(DEM)で作成しています。
Google Earthで海底地形図を表示する方法
方法1.スマホ:「Google Earth アプリ」で表示
「Google Earth アプリ」をインストール
Google Earth用kmzファイルをダウンロードしてスマホ内に保存
「Google Earth アプリ」を起動
プロジェクトを追加 ⇒ ローカルKMLファイル-[インポート]をクリック ⇒ 保存したkmzファイルを選択
海底地形図の場所に移動し表示されます。
方法2.パソコン:「Google Earth プロ」で表示
「Google Earth プロ」をインストール
Google Earth用kmzファイルをダウンロード
ダウンロードした kmzファイルをクリックすると 「Google Earth プロ」が自動的に起動
海底地形図の場所に移動し表示されます。
方法3.パソコン:「ウェブブラウザ版 Google Earth」で表示
Google Earth用kmzファイルをダウンロード
「ウェブブラウザ版 Google Earth」 にアクセス
URL:https://earth.google.com/web/
ダウンロードした kmzファイルを画面上にドラッグすると、海底地形図の場所に移動し表示されます。
利用について
このデータは地元漁業関係者、海域利用者のために公表しております。研究目的、事業目的で使用されたい方は、九州大学浅海底フロンティア研究センターまで別途お問い合わせください。
TEL:092-802-5646 Email:seafloor@scs.kyushu-u.ac.jp
本海底地形図の作成方法
海底地形測量は、マルチビーム測深機R2Sonic2022を使用しました。発振周波数は 400kHz を用いました。船位の測定(測位)および船の動揺(ロール・ピッチなど)を補正するモーションセンサには、慣性 GPS ジャイロApplanix POS/MV OceanMasterを使用しました。測深データの収録には統合型水路測量ソフトウェア HYPACK を用いました。測深結果の音速度補正に用いるため、測深時には表面音速度計 AML MICRO・X を用いてリアルタイムで海水面付近の音速度を計測するとともに、投下式音速度計 AML BASE X2 を用いて深度方向の音速度プロファイルを作成しました。
震災によって輪島港の験潮場は被災し、新たに機動型津波観測装置が設置されましたが、現状では潮位補正に直接用いることができないため、調査期間中、港内で水位ロガーHOBO U20L-04を用いて潮高の計測を行いました。潮位計測のため岸壁に設けた基準点については、リアルタイムキネマティック(Realtime Kinematic: RTK)測量器ProMark 120, L1/L2 GPS/GLONASSを使って測量し、潮位補正に使用しました。
測深データ後処理には、統合型水路測量ソフトウェア HYPACK・および三次元ビジュアライゼーションソフトウェア QPS Fledermaus を用い、グリッドサイズ 0.5 mの高解像度数値標高モデル(DEM)を作成しました。
今後は、このほかの海域で調査した測深データの解析や潜水調査も進めて、海底断層の可能性がある地形などについて研究を進めて参ります。
九州大学プレスリリース(2024.04.24)
浅海底フロンティア研究センターと株式会社ワールドスキャンプロジェクトは、2024年4月27日~5月5日に能登半島地震によって変化した海底地形の調査を行いました。
「能登半島地震によって変化した海底地形の調査 はじめて沿岸域のマルチビーム測深調査を実施します」
調査データをもとに、地元漁業者など海域利用者向けの海底地形図の作成・公開、および沿岸浅海域の断層地形の分析を進めてまいります。