地球史上の大規模変動を引き起こした大陸衝突テクトニクス,およびそれに伴う物理・化学現象の解析を行う.

鍾乳石や深海堆積物に記録された古気候情報の解読し,将来の気候変動予測に役立てる.

最先端分析装置による超微小領域の精密な解析結果から,地殻〜マントル物質の形成過程を解析する.
その他にも多様なテーマで研究を進めています(順次更新予定)

最近の博士論文と修士論文のタイトルです.
鍾乳石から過去の気候を解読する
「地球温暖化」に対応するために,将来の気候変動予測は人類の火急の問題である.
気候変動予測は,超長期的天気予報だ.天気予報は直前の気団の動きなどの気象データを基に行われ,その信頼性は気象観測技術とともに,近年向上してきた.
同じことが超長期的天気予報にもあてはまる.より信頼性の高い変動予測を行うには,長期的な過去の気候データの質/量両面での向上が求められる.これを私たちは古気候観測点とよぶ.

鍾乳洞に発達する石筍は有望な古気候観測点である.欧米諸国や中国では,近年盛んに研究が行われ,陸域での古気候について新たな知見が示されている.
特に重要な結果は中国南部の試料から提示されている.過去12万年間の鍾乳石の酸素同位体値は,太陽放射量の変化に極めて良く相関し,その変動パターンは,海水準を反映した深海コアのパターンと大きく異なっている.すなわち,海水準は必ずしも気温と相関しない.これは,従来の気候変動に関する理解を大きく変えるものであり,将来の気候変動予測にも反映されるだろう.
私たちは2005年から本格的に鍾乳石研究に着手した.日本では,鍾乳石の年代測定技術の面で大きく遅れているが,私たちは台湾国立大学との共同研究によって,この問題を解決し,国内における鍾乳石古気候研究をリードしている.
統合国際深海掘削計画 (IODP) への参加
気候変動解析を目的とした国際的プロジェクトとして統合国際深海掘削 (IODP) がある.私たちは,このプロジェクトの調査航海に参加して,海外の研究者とともに研究を実践してきた. IODPは最も成功した国際研究プロジェクトとも言われ,実際,「気候変動」や「プレートテクトニクス」など今日の地球科学における常識を実証してきた.これからも,地球科学についての新しい事実が次々に明らかにされるだろう.