磯焼けに悩む糸島の海 現状把握調査と課題の抽出

九州大学の地元である糸島市沿岸の姫島周辺では、沿岸域の生態系や漁業において非常に重要な場所である藻場が消失する「磯焼け」現象が喫緊の課題となっており、その磯焼け問題の解明と改善に向けた研究に工学研究院の研究者と共に取り組んでいます。

2021年度は、藻場の衰退状況やウニ類や植食性魚類の生息状況、漁業への影響などを中心に、漁業者へのヒヤリングを行いました。またマルチビーム測深機を用いてデータを収集、高解像度の沿岸海底地形図を作成し、潜水による目視確認や水中ドローンでの撮影を実施、より詳細に地形や藻類の分布について調査し海洋環境を可視化しました。これにより、水深により植生や藻場の分布に大きな違いが明らかとなり藻場の生育には水深と水温の条件が大きく影響していると推察されます。また姫島東岸から南東岸は、海中環境が安定した豊かな漁場であることがわかりました。

今後は、多地点での水質モニタリング調査による海域の評価や、海底地形図を基にした漁業者への聞きとり調査を進めることで、漁場の開拓や保全海域・対策海域を設定することが可能であると考えます。また西岸においては藻類の避難地としての役割が期待できるため藻類の生かし方について検討を行い、漁業者と調整を図りながらウニ類の摂食活動ピーク前の夏までにウニ除去を実施することなどが必要であると言えます。今後の漁業活動や海洋環境について考えるにあたって、この研究で作成した姫島沿岸の海底地形図は、漁業者の情報を得て話し合いを行うために大いに役立てることができると考えています。

令和3年度糸島市協定大学等課題解決型研究事業 / JSPS 科研費JP21H04379

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糸島市のホームページ 令和3年度「糸島市協定大学等課題解決型研究事業」の研究成果を公表します

海中の藻類 クロメとタマハハキモク
© 九州大学 菅 浩伸
作成した高解像度沿岸海底地形図
作成した高解像度沿岸海底地形図
© 九州大学 菅 浩伸