発話や行動の基礎をなす【規範】に関連するものとして、ある文化の中で礼儀にかなった行動をするために人々が無意識のうちに拠り所にしているもの=“ポライトフィクション”(Sakamoto and Naotsuka 1982)が挙げられます。異文化間コミュニケーションにおいて時に生じるコミュニケーションの困難さはこのポライトフィクションの共有の欠損に起因している場合もあるのですが、そのことが話者に認識されずに相手の個人的な、または民族的な欠陥の所為とされてしまうことが実際には多いようです。外部の相手に対して身内や職場内の他の人を謙譲の意を含めて呼称し表現する日本人の作法や「内・外」の概念など身近な事例をジョーンズ教授が紹介し日米の【規範】の相違が具体的に浮き彫りとなりました。