地球社会統合科学府修了者へのメッセージ
2021年9月24日
修士・博士の学位を取得し、地球社会統合科学府を修了された皆様に、学府長としてお祝いと期待の言葉を一言申し上げます。
修士・博士の学位論文はそれぞれの課程での勉学・研究の集大成的な位置にあり、この間に自身が学府で学んだこと、取り組んだ研究活動の成果が凝縮して現れていることでしょう。30年以上前の私自身の経験を思い起こせば、修士論文を書き上げて締め切り間際になんとか提出できた時、学術研究をさらに続けるだけの能力が自分に備わっているかもしれないと密かな自信を抱くことができました。
もちろん、修士課程で身に着けるべきスキルや能力は学術的な研究能力にとどまりません。本学府ではディプロマポリシーを11のコア・コンピテンスにまとめていますが、そこには「研究や課題に取り組む姿勢」「文書作成技能」「課題発見・解決力」なども含まれています。こうした能力は学術研究の道ではなく、専門職業人として今後活躍するためにも不可欠な姿勢や技能といえるでしょう。本学府を修了された皆様が、今後、これらの能力をも活かし、様々な場所で活躍されることを心より祈念いたします。
博士の学位を取得された方々は、学術研究者・高度専門職業人として歩みを進めるのに不可欠な能力を身につけている証明書を得たことになります。大学や研究機関などでポストを得るために、博士の学位は不可欠な時代になって久しいものがあります。もっとも、博士の学位取得者は着実に増加していますので、理系分野であれば著名な学術雑誌への論文の掲載を、文系であれば学位論文を著作にまとめ、広く学界にアピールすることが不可欠です。書籍として刊行できれば反響もまた異なります。良い意味での差別化をはかるためにも、ぜひ、著書の出版にチャレンジしてください。そのためにはもちろん、もう一段のレベルアップが必要でしょう。博士の学位を得た皆様が身につけた学術研究能力を生かし、各方面でご活躍されることを楽しみにしています。
今回、コロナ禍の緊急事態宣言下にあって学府における学位授与式の開催を見送りましたが、皆様の学位取得と学府の修了を心から喜んでいることに変わりはありません。学位取得者・修了者として、本学府に引き続き関心をもち、我が学府、教員スタッフや後に続く学生に今後も叱咤激励をいただければ幸いです。
九州大学大学院地球社会統合科学府長・松井康浩