九州大学大学院 地球社会統合科学府 Graduate School of Integrated Sciences for Global Society 比較社会文化研究院 Faculty of Social and Cultural Studies

学府について

教員一覧

言語・メディア・コミュニケーションコース
氏名 山村 ひろみ(やまむら ひろみ)
専門分野 スペイン語学
キーワード  
講座 言語文化研究院 言語環境学部門 言語情報学
九州大学
研究者情報URL
http://hyoka.ofc.kyushu-u.ac.jp/search/details/K001758/
研究内容 研究概要:

1995年から1999年:
 主たる研究テーマはスペイン語の時制体系,特に,各単純形式の機能を体系的に捉えることであった.これまで直説法過去の二形式,すなわち,preteritoとimperfectoを中心に観察を行いその理論化を試みてきた.その結果は以下のようにまとめられる.従来アスペクトという範疇における最小対と見なされてきたこれら二形式については,(1)その論拠自体に実証的問題があることが明らかになった.従って,preterito とimperfectoの機能的差異をアスペクトという観点から説明することは有効でない.これら二形式の機能的差異は基準時およびその基準時に対する時間関係という二つの局面において捉えるべきである.(2)imperfectoの機能はpresenteのそれと平行関係にあり,両者の違いは専らその基準時の違いと考えられる.(3)preteritoの本質的機能は当該命題の不成立から成立への変化の知覚といった人間の認知能力に深く関わるものである.これは,すなわち,その不成立から成立への変化を認知することの難しい事態はpreteritoによる表出が難しいことを意味する.



1999年から2000年:

 スペイン語における事態の分類とその基準の確定,スペイン語の事態の意味内容と各時制形式による表出の関係,estar+gerundioの基本的機能の確定,スペイン語における「時制の一致」現象の分析,といった「時制」に関係する様々な現象にまで考察の対象を広げた.



2000年から2004年:

 特に,①先述した過去の二形式 preterito と imperfecto と複合完了形である preterito perfecto compuestoの機能的類似および相違,②過去の二形式と未来形の機能的関係性,③スペイン語の時制体系と日本語・英語・仏語の時制体系の対照研究,に深い関心を寄せ,データならびに文献の収集を行なった.2003年には基盤研究(C)(1)「日・英・仏・西語の対照研究-時制・アスペクトを中心にして」という研究課題の代表者として科学研究費補助金を獲得した.



2005年から2007年:

 上述のスペイン語の時制・アスペクトについての研究のほか,西和辞典の執筆,日英西語の会話表現辞典の監修に携わった.また,2007年には,大森洋子氏(明治学院大学)と共同でスペイン語の外見動詞parecerの研究を行なった.このparecer構文の研究は,これまでの時制・アスペクトの研究と関係する部分も多く,さらなる発展が期待される.



2008年から2009年:

 西和辞典の執筆を継続すると同時に,初級レベルから中級レベルの間に属すスペイン語学習者のための独習書『解説がくわしいスペイン語の作文』(2009年3月発行,白水社)の出版,また,前年度まで行なってきたスペイン語外見動詞parecerに関する研究をまとめた論文の執筆,さらに,新たに「もう少しで~しそうだった」という事態の未遂を表すスペイン語表現の研究および発表を行なった.なお,2005年より比較社会文化学府日本社会専攻日本語教育講座にも所属することになったため,ここ数年はスペイン語のみならず,日本語を始めとする他言語の時制・アスペクト体系にも関心を寄せている.



2010年から2012年現在:

 まず,研究の中心である「現代スペイン語の時制体系の再構築-単純時制形式を中心にして-」というテーマのうち,これまで解明してきた諸事項,①過去の二形式,すなわち,pretérito perfecto simple とpretérito imperfecto の機能的相違,②過去の二形式の機能と知覚の関係,の総まとめを行い,その成果を国際学会で発表すると同時にスペイン語の論文でも発表した.また,2009年に Real Academia Españolaより新たに刊行された Nueva Gramática de la Lengua Española の日本語版プロジェクト(関西スペイン語学研究会が主催するもので『新スペイン語文法』(章別和文要約)というタイトルで出版されている)にも参加し,「第23章動詞 (I). 時制とアスペクト・語彙アスペクト・ 直説法の時制」を担当した.さらに,スペイン語の時制・アスペクト体系と日本語のそれの対照研究を東京外国語大学の高垣敏博氏とともに行い「スペイン語の時制-日本語との対照」という題目で東京外国語大学語学研究所の紀要に発表した.2012年以降は,特に,「現代スペイン語の時制体系の再構築-単純時制形式を中心にして-」というテーマのうちこれまで手付かずの感のあった,presenteの機能の解明に本格的に取り組む予定である.presenteに関しては,その用法についての先行研究は膨大にあるが,その機能をスペイン語の時制体系の中でどのように位置づけるか,また,そのための道具立てとしてどのような概念を用い,それをどのように定義するのか,といったことを明確にした研究は少ない.2012年以降は,このようなpresenteに関する先行研究の問題点を踏まえると同時に,これまで明らかにしてきた pretérito perfecto simple, pretérito imperfecto, futuro といった他の単純時制形式の機能との整合性にも十分目を配りながら,presente の機能を画定していきたい.




 


教育活動概要:



Ⅰ.スペイン語教育

1994年から2011年:

 1994年から2011年までの間,本学におけるスペイン語教員は山村1名のみであった.したがって,本学におけるスペイン語教育の方針・管理・運営はすべて山村が行ってきた.その間の,スペイン語教育の概要は以下のとおりである.



九州大学におけるスペイン語教育の目的と方法

目的:(1)スペイン語の基礎力の確実な養成.

    (2)スペイン語圏における多文化・多言語性の認識,および,スペイン語圏の言語・文化・社会を通して見た多文化・多言語の意識化.



(1)については各学期ごとに次のような授業が行われている

1学期:スペイン語I(週2回)文法の基礎力養成.独自教材使用.

2学期:スペイン語II(週2回)週1回はスペイン語Iの続きの文法の授業であり,あと1回はビデオを利用しながら,異文化理解,聴解力・会話力養成に努めている. 

3学期:スペイン語III(各週1回)

    スペイン語IIIは作文・会話・講読の3種類の科目からなっており,学生は自分の興味に従って,科目を選択できる.

4学期以降:表現スペイン語,時事スペイン語,スペイン語圏の言語と文化(隔年開講),総合スペイン語演習(隔年開講)(各週1回)

    これらの科目は,スペイン語IIIと同じく,学生は自分の興味に従って,科目を選択できる 
 


2012年以降:

 2012年より,スペイン語教員として阿部俊大氏が赴任し,やっと,九州大学のスペイン語教育は専任教員1名から2名体制となった.阿部氏の赴任は,これまで山村がひとりで行ってきた九州大学のスペイン語教育を批判的に検討するよい機会である.阿部氏とともに,九州大学の学生にとってスペイン語を学ぶことの意義を再確認し,よりよい授業を行えていけたらと思う.





社会活動概要:特になし.

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