KEYWORDのスペクトラムに表現された研究領域を6つのコースに編成
日本を含む東アジア地域は世界で最も多様で、ダイナミックで複雑な地域のひとつです。本コースは研究を通じてより良い東アジアの歴史・環境・社会を包括的に究明し、人類社会の未来を構想します。
内容
包括的東アジア・日本研究コースには、東アジア地域の多様性を理解し、課題を解決するための様々なアプローチを提供する4つのコースがあります。地球史から人類の黎明期、現代までをカバーし、地域が抱えている様々な課題に対して、環境、歴史、政治、経済、社会、文化の諸側面を多角的に検討するためのコースを提供します。
総合人類史研究 コースA
考古学、自然(生物)人類学、環境地理学などのディシプリンを越えて総合的な人類史研究に関するコースを提供します。人類の活動とその変化の探求や、人類活動の舞台となる自然環境との多様な関連性を探求します。また、人類史や進化を理解するためには、環境と生物と文化の相互作用や、それによって生み出される生物学的、社会的、文化的、政治的、経済的な多様性を見ることが重要です。コースは研究に必要な理論と方法論を提供するように設計されています。
前近代・現代史研究 コースB
日本を含む東アジア地域の政治や経済、社会が歴史的にどのように形成されてきたのかを、歴史学や政治学、人類学、地域研究等の手法を用いて明らかにします。具体的には前近代におけるこの地域での国家形成や社会編成のあり方、19世紀以降の近代化のプロセス、さらには帝国主義と植民地主義やナショナリズムがこの地域の政治や経済、社会にどのような影響を与えたのかなどについて論じます。コースでは、一次資料の分析方法や論理構築などのアカデミックスキルを学びます。
現代東アジア地域を多角的に研究 コースC
東アジア地域の人・モノ・資本・情報の相互浸透は国家や社会のあり方に強い影響を及ぼすだけでなく、東アジア地域そのもののダイナミックな変容をもたらしています。本コースでは、国家と政治、ナショナリズム、宗教、エスニック・マイノリティーとネットワーク、移民、ポピュラー・カルチャーなどに焦点を当てて、政治学、社会学、宗教学、文化人類学、歴史学の手法を用いながら、東アジア地域・国家・社会、そして個人のレベルで分析する学際的な研究方法を指導します。
自然環境の成り立ちと環境変動研究 コースD
日本を含む東アジア地域の自然環境とその成り立ち、およびこれらの地域の防災・資源利用・生物多様性・環境変動などについて、地理学・生物学・地球科学・水文学・環境学を統合する学際的な研究手法から探求します。地球史に関わる数億年オーダーから、近年の人為活動による気候変動に関わる将来を含む数十年オーダーまで、幅広い時間スケールの環境変動を射程に、乾燥地や高山、熱帯雨林やサンゴ礁、海洋や湖沼、河川やため池などの多様な自然環境を対象として、自然科学を中心とする学際的な方法論を駆使して問題解決や科学的探求を進めます。
アジアを中心に活躍できるフィールド重視の専門的人材育成
主な分野
考古学・骨考古学・自然人類学(生物人類学)・地球科学・地理学・水文学/水共生学・生物多様性科学・環境学・東アジア史・日本史・地域研究・移民研究・宗教研究・文化人類学・政治学・国際関係論など。
きめ細やかなカリキュラム
包括的東アジア・日本研究コースでは、日本を含む東アジア地域の特徴を、学際的にも、方法論的にも広い幅を持って把握し、考えていくことを目指します。基本的にフィールド調査を重視しており、日本国内だけでなく、海外調査のフィールド調査へ行くことができます。また、論文や発表の構想力とディベート力を培う総合演習などを行ないます。
中国雲南省徳宏州で、路上に新築された関帝廟に参拝するタイ族の人々
台北市のリトルマニラのフィリピン人向け食料品
香港ヴィクトリア・ピークからの夜景
上海、南京路の夜景
バンコク、国王誕生日の王宮前広場
人骨実習
福岡県大刀洗町高樋辻遺跡の調査
ミクロネシア連邦チュック環礁のサンゴ礁
キリバス共和国タラワ環礁のサンゴ礁上に設置された石干見(魚垣)
これまでの卒業生達は、大学をはじめとする研究機関の教員や研究員、また各県市町村教育委員会などだけでなく、アジアで活躍する民間企業などに就職し、本学で学んだ知識と経験を活かして、世界各地で活躍しています。
包括的東アジア・日本研究コースでは、固有の自然環境・生態環境のもと、政治的、経済的、社会的多様性を持つ東アジア地域の特徴と、直面してきた諸課題を、一国史の枠組みを越えて、東アジア地域の枠組みで解明することを目指しています。地域の自然環境がいかに成り立ち、人類の黎明期から、この地域でヒトやモノがどのように交流し、それぞれの社会だけではなく生態環境にもいかなる影響を与えてきたのか。現在の「地域」や「国家」、「社会」、「文化」がどのように形成され、そして今後どのように変化していくのか。このような問題を考えることを通じて、この地域が持つダイナミズムを描く視座を提供します。
さらに、本コースは「地域」に基盤を置きつつ学際的にコースが編成されています。これは、日本を含む東アジア地域を理解するためには、単一の方法論ではなく、複数の方法論を組み合わせた「包括的」な視点が必要であるという、本コースに所属する教員の問題意識の表れです。
International Program
氏名 | 職位 | 専門分野 | キーワード |
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田尻 義了 | 教授 | 考古学 東アジア考古学 | |
溝口 孝司 | 教授 | 考古学 | |
辻田 淳一郎 | 教授 | 日本考古学 | |
菅 浩伸 | 教授 | 自然地理学,地形学 | サンゴ礁地形,環境地理学,地形発達史,マルチビーム測深,SCUBA潜水,ボーリングコア,電子顕微鏡(SEM-EDS),X線回折(XRD),琉球列島,モルディブ諸島,太平洋,環礁, グレートバリアリーフ |
伊藤 幸司 | 教授 | 東アジア交流史・日本中世史 | |
鬼丸 武士 | 教授 | 政治学、国際関係史、比較地域研究 | 比較国家形成史、情報収集、警察、非伝統的安全保障問題、イギリス帝国史、東南アジア地域研究 |
福田 千鶴 | 教授 | 日本近世史 | |
荒谷 邦雄 | 教授 | 昆虫学 | |
Matthew Augustine | 准教授 | 日本近現代史 | |
長谷 千代子 | 准教授 | 文化人類学、宗教研究 | |
舟橋 京子 | 准教授 | 人骨考古学 | 古人骨、先史社会、葬送行為、通過儀礼 |
小林 亮介 | 准教授 | ||
Geerhardt Kornatowski | 准教授 | ||
渡部 哲史 | 准教授 | 水文学 | 水共生学、水文社会学、水循環、気候変化、人口減少 |
木土 博成 | 准教授 | 日本近世史 | 日琉関係、薩摩藩政史、泡盛、朝鮮信使、武家故実 |
藤岡 悠一郎 | 准教授 | 地理学,景観生態学,アフリカ地域研究 | 植生,自然資源利用,生物多様性保全,景観分類,生業変容,アグロフォレスト,農村開発,アフリカ |
仙田 量子 | 准教授 | 固体地球化学、文化財科学 | 化学組成分析、同位体分析、年代測定、地球内部進化 |
安田 章人 | 准教授 | 環境社会学、地域研究 | 狩猟、スポーツハンティング、野生動物との共存、野生鳥獣問題、住民参加型保全 |
米元 史織 | 准教授 | 人類学 | 古人骨研究 |
林 辰弥 | 講師 | 微化石学、古海洋学、古陸水学 | 化石珪藻の分類・生態・進化、古気候・古環境変動、モンスーン変動、北半球の氷床化 |
栗田 健一 | 講師 | 経済学、応用データ分析 | 応用ミクロ経済学、政策分析 |
澤藤 りかい | 講師 | ||
福永 将大 | 助教 | 考古学 |