KEYWORDのスペクトラムに表現された研究領域を6つのコースに編成
私達が暮らすこの世界は、 様々なレベルの社会から成り立っています。 地域、地方、国家といったレベルから、経済圏、文化圏、地球社会のレベルまであります。より広域的で抽象的な社会ほど、多様なレベルの社会を複雑に含んでいます。また、どんな小さな社会でも、そこは多様な人々や集団によって構成されています。
社会的多様性とは、様々なレベルの社会を構成する人々や集団の間にある、 ジェンダー、セクシュアリティ、「人種」、エスニシティ、文化、宗教、階級、年齢などを指します。
現実にはいろいろな形があります。ある人々にとっては意味がない特徴や差異が、ある人々にとってはとても重要な意味を持つことがあります。社会的多様性は、様々な思想や文化の交流を促して、社会の活力源になることもあります。一方で、自他の境界線を引いて、権力や社会的資源を奪い合う紛争の源になったり、人権にかかわる問題を起すこともあります。
現在も残るベルリンの壁
グローバリゼーションが世界の隅々まで浸透してきている現代社会は、とりわけ社会的多様性は複雑な様態となっています。また、急速に変化していますので、個別の学問の枠を超えた取り組みが必要となることもあります。
社会的多様性には様々な側面があり、学問的な切り口も多様です。以下のような様々な学問分野を足場にして、それらの学問分野の諸理論や分析視覚を柔軟に織り交ぜていきます。
社会学
個人の日々の行動、暮らし、考える事と、“社会”の関わりを追求し、個人を超えた“社会”について研究する
文化人類学
異文化を理解し理解するとともに、自己の世界に対する認識を刷新するための批判的精神を涵養する
経済学(経済史・経営史)
多様な個人や法人が行ってきた、ドラスティックな経済的事象・経営的事象の調査・分析を行う
政治思想・ジェンダー研究
市民社会における自由と平等や、公共的なものと私的なものの分離やその構築性を、思想史上やジェンダー・人権などの問題として取り扱う
個別的な学問分野について基礎理論と調査研究方法論をしっかりと学び、社会的多様性の問題にかかわる対象とアプローチを定めていきます。これらは個別専門的ですが、相対化した視点が重視されます。サブコースからの学習も含めて幅広い視野に基づきつつ、個別具体的な研究テーマに取り掛かって貰いたいと思っています。
またそれと共に求められる素養は、現場感覚と共感能力です。 これらの素養のため、本を読んだり考えたりすることに加えて、フィールドに出かけて当事者達の視点や語りを学んだり、データを精査して隠れた事実や意味を見出したりする営みも重要です。
以上を踏まえたうえで、社会的多様性が、対立・抗争・差別等ではなく、互恵的な共存の基盤となるような理論と未来構想を描いてみてください。
ポアキル町役場に描かれた壁画
本コースでの学問分野(平成25年度までは比較社会文化学府)ではコンスタントに博士の学位取得者を出しており、その殆んどが国内外の大学で教員あるいは研究員として活躍しています。また、修士修了者のみならず博士修了者も含めて数多くの人が、高度専門職業人として金融・商業・貿易・工業・教育・公務員などいろいろな産業分野に就職して活躍しています。先輩達の後を追う進路だけでなく、新たなアカデミック・ポジションの開拓を試みることもできます。
皆さんの身近な環境から遠く離れた地球の裏側まで、世の中には多様な人々がいます。そして、そこにいる個人や集団には様々な属性が付与されています。社会には、多様な人々や集団が共存しているからこそ、豊かであり、魅力的であり、影響を受けあい、変化をしていきます。まただからこそ、対立し、憎しみ合い、反発し、他者を自分たちに従わせようとします。そして社会的な多様性が様々な反応を生み出すからこそ、我々はそれをより深く知るために探求してみたいという欲求に突き動かされます。
本コースにいる教員も大学院生も、好奇心に満ち溢れた人々ばかりです。当然、その好奇心の方向性は千差万別ですが、お互いの興味関心を尊重し合い、総体として多様な社会をより深く、より精緻に、より説得的な視角で理解しようと努めています。世の中をもっと突き詰めて知ることができる、それが本コースの最大の魅力です。
International Program
氏名 | 職位 | 専門分野 | キーワード |
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三隅 一百 | 教授 | 社会学 | 集団過程、社会階層、社会学研究法 |
鏑木 政彦 | 教授 | 政治思想史 | |
宮地 英敏 | 准教授 | 日本経済史 日本経営史 日本近代史 | |
杉山 あかし | 准教授 | 社会的コミュニケーション 文化研究 社会学 | |
北澤 満 | 准教授 | 日本産業史,日本経済史,日本経営史 | |
藤田 智子 | 准教授 | 家族社会学、ジェンダー論、オーストラリア研究 | 家族政策、生殖医療、社会規範、ジェンダー、セクシュアリティ、オーストラリア |
Geerhardt Kornatowski | 准教授 | 人文地理学、都市社会学、地域研究、社会的格差問題 | |
古川 不可知 | 准教授 | 文化人類学、ヒマラヤ地域研究 | 山岳観光、インフラ、道、身体、モビリティ、物質性 |
李 暁燕 | 准教授 | 知識科学 学際教育研究 第二言語習得 | 知識共創 学際教育研究 異文化コミュニケーション、多文化グループワーク |
毛塚 和宏 | 准教授 | 社会学,数理社会学,計量社会学,計算社会科学 | 社会学 |
源河 亨 | 講師 | 哲学、美学 | 知覚の哲学、感情の哲学、美的経験、美的判断、音楽美学 |
栗田 健一 | 講師 | 経済学、応用データ分析 | 応用ミクロ経済学、政策分析 |
Xiaoyang Hao | 助教 | ジェンダー史、アジア近現代史、ジェンダー・スタディーズ | 戦時性暴力、戦争記憶、歴史教育、生理用品、セクシュアリティ |