九州大学大学院 地球社会統合科学府 Graduate School of Integrated Sciences for Global Society

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教員の著書

近代文学者のロシア——二葉亭四迷・内田魯庵・大庭柯公
・ 松枝 佳奈
・ISBN 9784623091188
・ 2021年05月30日
・定価 定価9,350円(本体8,500円+税)

 松枝佳奈(本学大学院比較社会文化研究院・文化空間部門・文化表象講座・講師)の単著『近代文学者のロシア——二葉亭四迷・内田魯庵・大庭柯公』(ミネルヴァ書房、2021年5月)が刊行されました。

 本書は、明治・大正期の日本でロシアに深い関心を寄せて活動した二葉亭四迷、内田魯庵、大庭柯公という三名の文学者・著述家・新聞記者の著述のうち、従来あまり注目されてこなかったロシア関係の評論や随筆、口述筆記、回想、日記、書簡などを初めて詳細に分析した著作です。そのような作業を通じて、広範な知見でロシアを研究し、言論と文学の場から日露関係の真の発展を目指した三名の文学者たちの足跡や交友関係、思想的系譜を明らかにしました。

 本書では、彼らが単なる「文学者」ではなく、日露の人民の自由や幸福、知的な発展と成熟を希求し、言論や文学の場から、より建設的な日露関係や両国間の交流を目指した知識人であった、というこれまでにない視座が提示されています。また一般には広く知られていない大庭を、多くのロシア語の新資料を用いながら、二葉亭の言論活動と思想の後継者として論じることで再評価しました。そしてロシアをめぐる思想と人的交流の面から二葉亭と大庭をつなぐ人物として、魯庵を精緻に考察したのは、これまでに例を見ない試みであるといえます。

 二十一世紀の今日においても、日露関係は多くの困難を抱えています。二葉亭や魯庵、大庭のような知識人たちはそれらをすでに百年以上前に察知し、同時代と過去のロシアに関する膨大な知識や情報、知見をもって、民間の立場から独自に解決の道を探ろうとしました。三名のロシアをめぐる言論・文学活動の実態を詳らかにした本書は、2021年6月28日より書店、インターネット通販などで販売されます。本学附属中央図書館にもすでに配架されていますので、ご関心を持たれた方はぜひご一読ください。