地球社会統合科学府

在学生の方

学府長挨拶

文理の枠を超えた幅広い知識と国際性豊かな視野を備えた地球規模の課題を解決する人材に
地球社会統合科学府 学府長 小山内康人

九州大学大学院地球社会統合科学府(Graduate School of Integrated Sciences for Global Society:ISGS)が発足してちょうど2年が過ぎ、この3月には修士課程の第1期生が多大な研究成果をあげて修了しました。 九州大学の大学院学府の中では最も新しい組織であり、その分、極めてたくましく大きく飛躍しようとしている学府といえます。 地球社会統合科学府は、4000名を越える修了生が学んだ比較社会文化学府(1994〜)を前身とし、「学際性」・「国際性」・「総合化」という比較社会文化学府の教育・研究理念を受け継つぐとともに、それらを統合・深化させて、「地球社会的視野に立つ統合的な学際性」という新たな理念・目標を掲げ教育・研究を展開しています。 2013年度に文部科学省によって策定された国立大学改革プランによる「ミッションの再定義」においても、地球社会統合科学府は、比較社会文化研究院とともに九州大学の中で唯一「学際部局」として認定されました。 このことは、「地球社会的視野に立つ統合的学際性」による教育・研究展開が大いに期待されていることを意味しています。

九州大学では、教員の所属組織として「研究院」があり、大学院生の所属組織として「学府」があります。 この「研究院」と「学府」という組織体系は、例えば「法学府」を担当する教員は「法学研究院」だけではなく他の「研究院」の教員も参画することが認められています。 「地球社会統合科学府」には、「比較社会文化研究院」のほか、「言語文化」、「人文科学」、「法学」の各研究院や総合研究博物館、熱帯農学研究センター、韓国研究センター、留学生センターなどの多彩な教員が参画し、自然科学・社会科学・人文科学の広範な専門領域に対応できる体制が整えられています。 このような多彩な教員メンバーは、個々の学問分野の枠を越えて相互に連携し、「統合学際的」な教育・研究の展開に対応できます。 例えば、修士課程で「資源外交」を研究したいと思えば「天然鉱物資源」の基礎知識が必要になるでしょうし、「自然環境保全」を目指すのであれば「経済学」や「政治学」が必要な場合もあるでしょう。 「考古学」には「化学・同位体分析」の先端技術が必要とされるようになってきており、「インドネシアの資源開発」には「イスラム文化」の習得も不可欠と思われます。 このように、個々人の専門となるメインコースとともに学際性を高めるためのサブコースを選択する地球社会統合科学府の修士課程教育では、いわゆる文・理の壁を無くすことを極めて容易にし、高い専門性と統合的な学際性が育成されます。 また博士課程では、学際的素養と高度な専門性に立脚して世界レベルの独創的研究が行われることになり、他の大学院・学府では為し得ない新たな視点にたつ高度専門職業人・卓越した研究者が養成されることになります。 産業界の中枢である経団連の声明でも、「地球的規模の課題を分野横断型の発想で解決できる人材が求められていることから、理工系専攻であっても、人文社会科学を含む幅広い分野の科目を学ぶことや、人文社会科学系専攻であっても、先端技術に深い関心を持ち、理数系の基礎的知識を身につけることも必要である」と述べられているように、地球社会統合科学府の理念に基づいて統合的学際性を身につけた人材は、産業界からも大きく期待されていると見なすことができます。

世間が期待する統合学際性に加え、今日の大学院教育では国際性(グローバル化)の強化も不可欠となります。 そこで私たちは、地球社会統合科学府発足と同時に、2つの特別な経費による「統合的学際教育を基盤とする高度グローバル人材養成プロジェクト」、および「フューチャーアジア創生を先導する統合学際型リーダープログラム」を機能させ、海外の著名研究者をチーム単位で招へいし特別講義、ワークショップ、コロキアムなどを開催するほか、海外フィールド調査や外国語論文執筆等の支援を行って、院生諸氏のグローバルな研究展開を推し進めています。 この度新しく入学された地球社会統合科学府第3期生にも、これら多くの国際的イベントやグローバル化支援を積極的に利用して欲しいと思います。

さて、「地球社会統合科学府で何を学ぶか?」。 そもそも、大学院では講義・演習等はあるものの、自らが率先して自身の研究を推進することが求められます。 地球社会統合科学府に入学する前には、それぞれの専門学部で学んできた皆さんに、いきなり「専門以外の学問にも積極的に触れ、学際性を高めなさい」と言われても違和感を感じることでしょう。 受講する講義、演習の選択にも迷うかも知れません。 前学府長の古谷嘉章教授は、「学際的な定食メニュー」は存在しないと述べています。 すなわち、学府が設定した「定食」的なカリキュラムなどはなく、院生自らが、文・理の垣根を越えた多様な科目群(料理メニュー)の中から、将来目指す方向に沿って最大限の力を発揮できるような科目(料理)を選択し、各自がもっとも良いと思う独自の受講・研究計画(献立)を作成すれば良いのです。 地球社会統合科学府は、皆さんの研究活動を最大限支援します。 自然科学・社会科学・人文科学の垣根を払い、地球的規模で人類が抱える諸問題を解決するために、日々奮闘して欲しいと思います。 そして、学問を、職場を、地域を、そして世界をリードする人材に育って欲しいと思います。 期待しています。

地球社会統合科学府
学府長 小山内康人