活動報告

2015-06-26

米国・アリゾナ大学 キンベリー・ジョーンズ教授による特別講義

   
 

英・日二言語授業

 特別講義『規範の共有、ポライトフィクション、異文化コミュニケーション』は超満員の活況を呈し、ジョーンズ教授自身の経験事例を交えた英・日二言語でのわかりやすい解説によってテーマに理解と興味を深めた多くの受講生から「関連の講義があれば更に是非受講したい。」という感想が異口同音に聞かれました。

 

“ポライトフィクション”

 発話や行動の基礎をなす【規範】に関連するものとして、ある文化の中で礼儀にかなった行動をするために人々が無意識のうちに拠り所にしているもの=“ポライトフィクション”(Sakamoto and Naotsuka 1982)が挙げられます。異文化間コミュニケーションにおいて時に生じるコミュニケーションの困難さはこのポライトフィクションの共有の欠損に起因している場合もあるのですが、そのことが話者に認識されずに相手の個人的な、または民族的な欠陥の所為とされてしまうことが実際には多いようです。外部の相手に対して身内や職場内の他の人を謙譲の意を含めて呼称し表現する日本人の作法や「内・外」の概念など身近な事例をジョーンズ教授が紹介し日米の【規範】の相違が具体的に浮き彫りとなりました。

 

異文化コミュニケーション

 儀礼に準じ間接的な表現の枠を守りつつ相手が主旨を推察してくれることを期待する日本人話者(ジョーンズ教授が留学生時代初期にお世話になった下宿の大家さん)と、何度聞いても顛末が全く理解できなかった当時のジョーンズ教授との逸話など多くのエピソードが披露され、出席者から共感の笑いや納得の拍手がわき起こりました。異文化話者間の発話の原点である【規範】の相違は大きなカルチャーショックに発展する危険性をはらんでいますし、逆に相手の行動規範がわかれば異文化コミュニケーションの問題を乗り越えられる場合が多いことを学びました。
 講義後のアンケートではジョーンズ教授の調査方法や研究テーマを自己研究に活用できるととらえた学生の回答が多数見受けられ印象的でした。

 

   
   
   

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