活動報告

2017年11月15日(水)【プログラム授業】「歩く力」を身に付ける-糸島市と釧路市の地域活性化の現場から学ぶ
 プログラムの掲げる「歩く力」の涵養を目的として、人口減少が深刻化している北海道釧路市で地域活性化に取り組む市民グループを講師として招き、地域活性化のモデルとしての糸島市フィールドトリップと市民グループによる講義を行いました。

 講師に増田和美氏(釧路ゲストハウス「休坂」)名塚ちひろ氏・夏堀めぐみ氏(釧路市民グループ「クスろ」)をお招きし、人口減少が深刻化している北海道釧路市で地域活性化に取り組む声を聴きながら、地域活性化のモデルとしての糸島市へのフィールドトリップを実施しました。(参加学生8名)

 まずは、糸島古民家「熱風寮・糸」(糸島市志摩櫻井)を訪問。寮の世話人兼合同会社よかごつの代表大堂良太氏より、「九大生と連携した地域活動について」をテーマにお話を頂きました。

 「市街化調整区域」をめぐって何度も福岡県と交渉を繰り返し、ようやく県内で第一号のモデルケースとして許可を受けたこちらの建物は築146年の木造瓦葺二階建。敷地面積は1000平方メートル以上。

 「空き屋解決×地域貢献=地域にひらかれた学生寮」を基幹に今年9月から入居が始まった学生寮(定員8名)は今や満室だそうです。

 もともとは村の庄屋だったという大きな古民家の内装も一つ一つ趣のある作りに。個室の他に学生皆が集える居間(ミーティングルーム)があり、学生ならではの自治が執り行われている様子も垣間見えました。

 また、月に一度、大堂氏は寮生一人一人と話す時間を持って(ここでお小遣いを少し)彼らの表情を見ているそう。そしてこのお小遣い、いずれはOBが後輩のために寄付をしてくれるようなシステムが作れたらいいと大堂氏は考えています。

 九大OBであるご自身も大学時代は寮生活。友人と夜を徹して夢を語り合ったり、ボランティアで地域と交流した経験がものの見方や価値観を形成するのに大いに役立ったとのお話でした。

 最後に大堂氏がおっしゃったのは、めざすは「顔が見える寮」。祭りに参加したり、地域の人を招いて座談会を開催するなど積極的に地域に関わっていくことが大事、いうことでした。こちら釧路からのお二人もこの夏からゲストハウスを開館。北と南ですが地域活性化という同じような志を持つもの同士、しっかりと握手を交わされていました。

 

 その後糸島市役所へ向い、糸島市企画部地域振興課の大鶴泰輔係長より「糸島市の移住・定住及び九大連携の取組について」説明を頂きました。

 熱風寮にも繋がる空き屋バンク制度や地域コーディネーター制度AIによる移住地マッチングサービス制度や九大との連携交流事業など糸島市が今最も力を入れている事業についての案内を含め、地域町おこし協力隊の方々への質問タイムも頂きました。

 

 昼食タイムは、これからシーズンを迎える牡蠣小屋(船越)へ。
 釧路からの3名はもちろんのこと地球社会統合科学府の学生も初めての牡蠣小屋を堪能していたようです。
 しかし、ぱちぱちはねる牡蠣に多少苦戦していた様子。

 午後からは伊都キャンパスに戻り、釧路の地域活性化の現状を元に実際にゲストハウスを経営されている増田和美氏、若者による市民団体「クスろ」を立ち上げ、今でも現役で活動されている夏堀めぐみ氏と名塚ちひろ氏の授業が実施されました。

 増田氏からはまず中国からの留学生のために事前に準備していた中国語での挨拶、その後はご自身の北海道釧路での民宿経営について実体験をもとに貴重なお話を頂くことができました。

 また、夏堀氏と名塚氏は、Uターンで地元を再発見する市民団体「クスろ」の設立までと現状を、デザイナー(名塚氏)作成のPPTによってわかりやすく説明されていました。

 大学を卒業し一旦就職はしたものの、何か自身の地元(釧路)のためにやりたいという熱い想いが、年齢の近い学生に非常にわかりやすく届いたようで、何かを始めるのに遅いということはない、今やりたいことは今始めようという心意気を熱く語るお二人。

 とくに使用のスライドはさすがお二人が作成されているだけあり、ポップで人の目を引く仕上がりに。表現力―まさに人に「伝える力」の面でもかなりの勉強になった気がします。

  

学生の中にはスクリーン一枚一枚を写真に収める学生も。写真提供者:学生

 

 その「クスろ」のお二人が作成の「九州大学 授業レポート」がこちら
  http://kusuro.com/kyusyu20171114/

トップページへ