活動報告

2015年11月27日(金)【プログラム授業】海外での感染症対策
 修士1年のプログラム生を対象とし、11月27日に三菱重工業株式会社長崎造船所病院内科の医長 宮城 啓先生をお招きし、講義を行っていただきました。本授業は学府内公開の形で実施されました。

 

 近年グローバル化の進展に伴う大きな課題の一つとなっている越境する様々な感染症の拡大に関して、その種類や分布状況、感染経路や実際に海外で活動する場合の感染症対策の方法について、蔓延地域における実際の予防・治療活動の経験を踏まえた実践的な講義が行われました。

 まず、近年、感染症の発生・拡散の理由として、内戦・紛争、経済低迷・貧困、災害、地球温暖化、世界における人の移動や予防に対するヒトの意識不足が挙げられました。また、最近の新興感染症及び再興感染症についてご紹介いただきました。鳥インフルエンザ(H5N1)やMERS(中東呼吸器症候群)、鳥インフルエンザ (H7N9)等の感染症の発生地域、被害等についてご説明がありました。

 近年、在外の邦人は増加傾向にあり、外務省領事局政策課の統計集計によりますと、平成26年10月1日現在、在外の邦人の総数は1,290,175人となっており、統計開始した昭和43年以降最多ということです。また、国際渡航医学会の資料によりますと、開発途上国への渡航における疾患として、最も発生頻度が高いのは「旅行者下痢症」で、20-40%を占めています。宮城先生から、渡航する前に、渡航先で必要なワクチン、感染症情報、医療機関などの情報を入手できる便利なウェブサイトの紹介がありました。

 続いて、渡航する前に必要と思われるワクチンについての紹介がありました。A型肝炎や狂犬病、腸チフス、デング熱などの病気は現在も多くの地域で猛威を振るっています。渡航先によって予防接種が必要なワクチンも異なります。

 最後に、宮城先生は長年、東南アジアで医療活動をされてきた経験に基づき、海外旅行保険の重要性についてご説明いただきました。各社が提供する海外旅行保険のプランの比較を含めて、選択する際の注意事項などについての説明がありました。タイ、インド、ラオス、カンボジアなどの国の医療事情などについても紹介がなされました。

 

 

  海外でのフィールド調査や研究活動などにあたってそういった知識は必要不可欠であるとともに、グローバル化の進展により、そのような感染症はいつ身近に発生してもおかしくないため、普段外国に行く機会がない人々にとっても危機意識を持ち、その対策を知っておくことは重要です。

 

                             

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